J-POP/アニソンのDJつなぎを作る手順(実例つき)

DJプレイ・MIX作成

J-POP/アニソンはDJ向きの曲調をしていないので、つなぎがうまくいかないことも多々あるのではないかと思いますが、どうやったらうまくいくのかの方法論があまり世に出ていないような感覚があります。

なのでこの記事では自分がつなぎ方を決めるときに実際どういう手順や考えで作っているのかを可能な限り言語化していきたいと思います。また、実際に自分がつなぎを作ったときの過程も実例として記載していきます。

この記事で紹介するのはあくまでつなぎを作る方法のひとつですが、どうやったらうまいつなぎ方ができるのか悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

※一部rekordboxを使用する前提の内容になっています。
※つなぐ曲は決まっている状態からつなぎ方をじっくり考えていくシーンを想定した手順になっています。即興プレイではまず無理な方法だと思います。

結論

先におおまかに結論を言うと、自分は以下のような順序でつなぎを考えることが多いです。

①曲の構成とDJの流れから「つなぐ位置」を決める
②聴き心地のよい「ミックスの仕方」を探す

最初に前の曲(再生中の曲)と次の曲がどんな構成をしているのか確認し、DJの流れも加味してどのパート(イントロとかアウトロとかAメロとか)を使ってつなぐのが良さそうかを決めます。その後、実際にいろんなミックスの仕方を試してみて、聴いていて違和感がない、かつ今のDJの流れにも適したものを最終的に選択する、という流れになります。

次の章から具体的な手順について説明していきます。

具体的な手順

「つなぐ位置」を決める

初めに考えるのは前の曲のどのポイントと次の曲のどのポイントをつなげるか、という点についてです。次のような流れで考えています。

つなげられそうな位置を確認する

まずは前の曲と次の曲のどこをつなげられそうなところを確認していきます。

アニソン/J-POPなら基本的に歌がメインになるので、ボーカル箇所は頭から終わりまできっちりかけることが多いと思います。そうなると曲をつなぐことができるのはその前後ということになるので、つなぐことのできるポイントを前の曲(今かけている曲)と次にかける曲で整理するとだいたい以下のようになるかと思います。

【前の曲】
・サビ(Cメロ)の終わり
・間奏
・アウトロ
・Dメロ
・ラスサビ

【次の曲】
・音の出だし
・頭サビ
・イントロ
・Aメロ

アニソン/J-POPは曲の構成が多彩なので、上記のパートが無い曲もありますし、あっても尺が曲ごとに違ったりボーカルが混じったりと、うまくつながりようがない組み合わせが多々あります。なのでまずはどこがつながる可能性があるかを探っていく必要があります。

各パートをざっくり聴いていってこことここはつなげられそうという箇所を大まかにあたりをつけていきますが、自分の場合は基本的には前の曲の「間奏」と次の曲の「イントロ」をミックスしていくことを考えるので(※1)、このふたつの始まりがどうなってるか終わりがどうなってるか、尺はどれくらいかなどの確認から始めることが多いです。そこを確認して到底つながりそうもないなとなったら他のパートの方にどんどん広げていく、という感じで進めています。

※1「間奏」と「イントロ」から考える理由としては、曲の構成としても前の曲のサビが終わって間奏に入り、次の曲のイントロに切り替わってAメロに入る、というのが流れとして自然だと思うからです(1曲ごとの尺は少し物足りないと感じる部分もありますが)。

※2 補足として、rekordboxで各パートの頭にホットキュー設定しておくと、トラックリストの画面からホットキューのアイコンを押すだけで確認できるようになるので便利です。詳細は以下を参照いただければと思います。

初心者向け|J-POP/アニソンでDJするときにつなぎで気を付けていること(選曲編) | 女児アニ好きのお家DJブログ

DJの流れも加味する

さきほどの「つなげられそうな位置を確認する」は曲の構成を考えたときにつなげるのが可能なポイントはどこか、という視点ですが、それに加えてDJの流れも意識したときにどこでつなぐのが最適か、という視点も重要になります。

つなぐ位置によって聴いている側の印象は変わる(※)ので、今までのDJの流れを踏まえてざっくりとこういうつなぎがしたいというのがあると決めやすくなります。

とは言っても曲の構成上やりたいつなぎができないことは多々あるので、現実的なところだと「つなげられそうな位置を確認する」で記載したようなやり方で基本は進めながら、DJの流れも加味して決めていく、という補助的な役割になるかと思います。

※盛り上がりどこなのでインパクトのあるつなぎがいいとか、あまりテンション上げる感じにしたくないのでじっくりミックスしていった方がいいとか。詳細は以下の記事で説明しているのでよければ覗いてみてください。

初心者向け|J-POP/アニソン原曲のDJ-MIX作成時によく使うつなぎ方の効果 | 女児アニ好きのお家DJブログ

「ミックスの仕方」を決める

つなぐ位置がひとまず見えたら続いて具体的にどうミックスしていくかを考えていきます。

大前提として録音して聴く

説明の前に大前提として、とにかくつなぎを決める時はつなぎを実際に試して録音して聴くってことが大事だと思っています。

結局のところは聴き心地良ければそれでいいというのが自分の考えなのですが、DJ機材を操作しながら聴いているつなぎというのはどうしても聴いている側と感じが変わってきます。客観的な評価をするために録音して聴くことが重要になってきます。

正直ここさえおろそかにしなければそんなにひどいことにはならないと思いますので、ぜひ真摯に取り組んでほしいと思います。

DJの流れからおおまかに考える

前述のとおりつなぎ方によって聴いている側の印象は違ってくるので、ここでもDJの流れは意識します。勢い付けたいところならカットイン・カットアウトでバチっと曲を切り替えたほうがインパクトがでるとか、じっくりつないでいきたいならロングミックスできないか見ていく、という具合です。

特に序盤とかピークタイムや〆の時間など、注意をひいたりテンションの維持が重要だったりする場面では重要になってきます(中盤などはそんなにこだわらなくても良かったりします)。

違和感のないミックスの仕方を試行錯誤する

おおまかに方針がきまったらあとはひたすらそのつなぎがうまくいくか試していきます。前提のとこで書いた通り、つないでみたものを録音して聴いてみて、音がぶつかっていて聴き心地が悪かったりする部分をEQや縦フェーダーを使ってうまく音を処理する方法を模索していきます。

ここの音の処理の仕方はほんとに使う楽曲によって様々なのですが、意識するのはだいたい以下のようなポイントになります。

音のぶつかり具合(特に低音と中音)

前の曲と次の曲をミックスしたときに各音域がぶつかって気持ちの悪い音になっていないかになります。

特に低音域(EQでいうとLOW)はリズム、中音域(EQでいうとMID)はメロディの中核を担うので注意します。リズムやメロディがあうなら片方の音量を少し抑える(※)くらいでミックスはできますが、あっていないならその音域は極力混ぜないようにします。

※抑える側の音量については、自分はよくEQのつまみなら9時~10時の位置、縦フェーダーなら目盛りの7~8あたりにすることが多いです。

メロディを切り替えるタイミング

どのタイミングから聴き手側に次の曲を意識させるかです。

さきほども記載しましたが中音域はメロディの中核となるので、聴いている側は中音域の音量を最大にしている方(EQでいうとMIDを12時の位置にしている方)の曲を今流れている曲として認識することになります。

前の曲のメロディラインが強いときに次の曲側のメロディラインに移ってしまうと、聴いている側も変なとこで変わったなってなっちゃうので、聴いている側の意識をいつ次の曲へと移行させる(次の曲側のMIDをいつ12時の位置にするか)と気持ちよく聞こえるかも意識してます。

音を切り替えるスピード

EQにせよ縦フェーダーにせよ、ミックスの操作をするときに拍の単位で一気に切り替えるのか、それともフェードイン・フェードアウト気味にゆるやかに切り替えていくのかという音を混ぜるスピードの話です。

この混ぜ方によっても聴いている側の印象は変わってくるのでどちらが聴き心地いいかを考える必要があります。経験的にはKEYとか雰囲気が合っていない曲をつなげるときほど、ゆるやかに変えてグラデーションを作ってやらないと違和感を感じることが多い気がします。

※フェードイン・フェードアウト気味に混ぜるのはそもそもリズムがメロディが近いときにしかできないので、曲によってできる/できないはあります。

どうしてもうまくいかなければ「つなぎ方」や「つなぐ位置」を決める手順に戻る

上記をいろいろ試してみてもどうしてもキレイなつなぎにならないケースは良くあります。その場合は「つなぎ方」を変えてみたり「つなぐ位置」を決める手順から再度やり直したりをすることになります。

その他

その他意識している細かい点を上げとると以下のようなものがあります。

FXは必要なときだけ

J-POP/アニソンDJは原曲を重視すべきだと思うので、必要なければFX系は特に使わないようにしています。どうしてもECHOなどで余韻を作ってやらないと曲の切り替わりがうまくできない時とか、もしくは演出的に原曲には出ていない雰囲気を意図的に作らないといけないときとかにしています。

音域ごとの調整はEQ、全体的な調整は縦フェーダー(併用もあり)

ミックスするときの音量調整は、各音域を個別に調整するときはEQを使用、音域ごとの調整はいらなくて曲全体で問題ない場合は縦フェーダーを使用、という形をとっています。LOWは切っといてHI/MIDの二つを縦フェーダーで音量調整、という風に併用するときもあります。

ミックス時間はなるべく短めに

J-POP/アニソンだと下手に音を混ぜすぎるとごちゃごちゃしてくるので、ミックスする時間はなるべく少ないほうが良いと思います。操作慣れてくるとEQのつまみとかいろいろいじりたくなって来ますが、自制してなるべくシンプルなつなぎになるよう心がけてます(出来てるかは置いといて)。

今回記載した内容と重複している部分もありますが、以下の記事でもつなぎに関する情報を載せているので参考にしてもらえればと思います。

初心者向け|J-POP/アニソンでDJするときにつなぎで気を付けていること(ミックス編) | 女児アニ好きのお家DJブログ

実例

最後に実際につなぎを作るときにどう考えてどう試行錯誤したかを紹介したいと思います。

完成したつなぎ

今回例としてとりあげたつなぎは以下になります。

使用している楽曲やつなぎの詳細については以下の記事を参照していただければと思います。

DJつなぎ解説|【女児アニ】Little singing bird → みつばちのキス | 女児アニ好きのお家DJブログ

上記の作成過程をできる限り書き起こしていきたいと思います。

出来上がるまでの過程

DJの流れからつなぐ位置とつなぎ方を考える

今回のつなぎはDJ-MIXの一番最初に使っているのですが、そんなにひっかりを作らずほどほどなテンションで進んでいくMIXにしようと思っていました。なので「Little singing bird」間奏と「みつばちのキス」イントロをミックスしていい感じにつながるやり方を探していくことにしました。

間奏とイントロを確認

まずはそのパートが具体的にどういう構成になっているか見ていきます。

・「Little singing bird」の間奏

・「みつばちのキス」のイントロ(ここでは頭サビ前のメロディのこと)

「Little singing bird」は間奏が16拍分のメロディと4拍分のブレイクがあり、「みつばちのキス」のイントロが32拍分あります。楽器を見ていくと「Little singing bird」はストリングスの音が強くてキックは薄め、「みつばちのキス」のほうは頭16拍分はキックがなく、キックが入るのが17拍目からで、全体通してメロディ強めだし残りの2拍で頭サビのボーカルもかかっている形になってます。

間奏とイントロのミックスを試してみる

さきほど見た通り間奏が16拍、イントロが32拍と長さが違うので、ひとまずイントロの前半16拍でミックスしていくことにします。また、あまりカットイン・カットアウトに近い形にしてもうまくいかないような気がしたので、メロディ少しずつ移していくようなミックスの仕方をまずは試してみます。

間奏×イントロ①

とりあえずは「Little singing bird」間奏で「みつばちのキス」イントロのメロディを感じる程度に入れてみます。あと「みつばちのキス」イントロ後半のキック入るところあたりで曲を移す形にしようと思いました。なので以下のようにまずはミックスしてみます。

・「みつばちのキス」のHI/MIDは少ししぼっておく(LOWはキックもないのでそのまま)
・「みつばちのキス」イントロ後半までにHI/MIDを入れ替えて「Little singing bird」はカットアウトする

音程(KEY)的な違和感はないように思いますが、「みつばちのキス」のほうで”チャッチャッチャチャチャ”って鳴っている音のせいかごちゃごちゃしてる感じがするのと、曲の移行がうまくできてなくて「みつばちのキス」がいきなり出てくるような感覚がします。

間奏×イントロ②

というわけで次は以下のようにミックスしてみます。

・「みつばちのキス」のにHIは切る(”チャッチャッチャチャチャ”を削る)
・HI/MIDの入れ替えをもうちょっと長めにとってみる

最初の方のごちゃごちゃ感は薄れたと思いますが、HI入れ始めるとやっぱり気になるし、5小節目から「みつばちのキス」のいきなり現れる感はまだひっかりました。もうちょっと段階的にメロディを移していったほうが良い気がしますが、「Little singing bird」間奏はループできるような形にもなっていないので無理そうです。

間奏×イントロ③

試にいっそ頭から「みつばちのキス」をメインに持ってくる形はどうかと思ったので以下を試しにやってみました。

・「みつばちのキス」を「Little singing bird」の間奏から直接入れる
・「Little singing bird」ボーカル途切れたくらいでHIとMIDしぼりメロディを抑える。

音の厚みは均された感じを受けますが、やっぱり「みつばちのキス」の唐突感は感じるしあんまりキレイに音が混じってる感じもしないので良くない気がします。

間奏ではうまくできなそうな感じがしてきたのでこの辺でアウトロのほうでできないか見ていきます。

アウトロとイントロのミックスを試してみる

「Little singing bird」のアウトロは以下の形になっています。

音数も少なくメロディも控えめで断然こっちのほうがミックスしやすそうです。

アウトロ×イントロ①

まずは「間奏×イントロ②」で試した「みつばちのキス」のHIを切ってMIDを抑えつつ5小節目で一気に戻す形をやってみます。

あたまの4小節分は断然こっちのほうがうまく音が混じっているように思います。ただやっぱり5小節目からの唐突感は消えてないように思います。

アウトロ×イントロ②

5小節目以降もまだ「Little singing bird」のメロディは残しつつじっくりミックスしていった方が良さそうに思います。なので以下を変えてみます。

・「Little singing bird」は5小節目でカットアウトではなくHI/MIDだけ残す形にする(LOWは5小節目で切る)

だいぶ形になった気がします。あとは「みつばちのキス」の”チャッチャッチャチャチャ”がまだ聞こえて気になるのと、5小節目の唐突感ももっと減らしたいのと、「Little singing bird」の8小節目の終わりにあるリズム崩れるところはいらないように感じたので、以下のように変えてみます。

・「みつばちのキス」のMIDをもう少し強めにしぼっとく
・5小節目で「みつばちのキス」のHIは戻し切らないようにして後で切り替える
・「Little singing bird」の8小節目の終わりより前にカットアウトする

これでもとの完成動画と同じつなぎになりました。これがベストかは分かりませんが、気になった点は解消されて聴くに耐えうるレベルにはなったかなと思うのここで終わりにしました。

おわりに

いつもどんな風につなぎ方を考えているかできる限り文章に起こしてみました。

つなぎ方を考えている最中はこんなにいじる必要ある?って毎度思いながら作ってたりしますが、こうして順番に追ってみるとちゃんと良くなっていっているように感じるので試行錯誤している甲斐はあるかなと思いました。

補足になりますが、この記事で紹介した手順をきっちり守って毎回作っているというわけではないです。もっと直観的にぱっと試してばっと決めちゃうことも多々あります。

また、今回実例として取り上げたつなぎは直近で試行錯誤した記憶があるものをピックアップしただけで、毎回こんなに複雑なことを考えているわけでもないです。(今までのつなぎの中でも苦労した部類に入ります)

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