初心者向け|J-POP/アニソンでDJするときにつなぎで気を付けていること(ミックス編)

DJプレイ・MIX作成

J-POP/アニソンはそもそもDJ向きな楽曲ではないので、曲をつなぐとき、特に曲を混ぜて(ミックスして)段階的に次の曲に切り替えていく場合、J-POP/アニソン特有の注意点・ポイントがあると思います。
この記事では自分がつなぐときに意識していることやつなぎのノウハウなどをまとめていきたいと思います。

※あくまで自分の経験・考え方・スタンスに基づいて良いと思ったことの紹介になりますので、これが正しいとかこれができてないとダメとかではないです。

この記事は以前書いた「選曲編」の続きにあたります。「選曲編」で次にかけると良さそうな曲を見つけたあと、実際に曲をつなぐ(曲を混ぜてミックスする)場面についての内容になります。

曲をつなぐときに気を付けること

つなぐポイントなど事前準備は必須

よく言われる話ですけどつなぐポイントなどの事前準備がすごい大事です。J-POP/アニソンにおいてはこれをしておかないと話にならないと思っています。

J-POP/アニソンは曲の構成も各パートの長さも不ぞろいなので波形だけ見てつなぐのはほぼ不可能です。
毎回、曲を聴きながらつなげるポイント探して長さ確認して、、、なんてことをしていたらとんでもないことになります。現場で即興でDJプレイするなんてまあ無理でしょうし、DJ-MIX作成でさえ余計な手間がかかってまともに進まない状況になると思います。

波形のどの部分からつなぎに使えるポイントなのか、そのポイントは時間的にはどのくらいの長さなのか、など、つなぎに必要な情報が可能な限り一目でわかるよう下準備をしておいた方が絶対いいです。

やり方はrekordboxであればホットキューやメモリキューを利用したりになるかと思いますが、自分はホットキューを活用したやり方とっています。具体的な活用方法はこちらの記事で紹介しています。

J-POP/アニソンにおけるEQの特徴を知っておく

ミックスするにあたってはEQのつまみが大きくかかわってきますが、J-POP/アニソンでは楽器の音が綺麗に分離しないという特徴があることをまずは知っておいた方が良いと思います。

再生中の曲と次の曲をミックスして次の曲につなげるとき、EQの「HI」「MID」「LOW」のつまみで各音域の楽器の音量を調節し、音が不自然にぶつからないようにしていく必要があります。

EQの「HI」「MID」「LOW」はそれぞれ曲の高音域/中音域/低音域を調節可能なつまみで、それぞれのつまみで以下のような楽器・音の調節が可能です。

EQのつまみ主な楽器その楽器の大まかな役割
HIドラムのハイハット、シンセ曲を装飾してくれる
MIDボーカル、ギター、ピアノメロディの中心になる
LOWドラムのキック、ベースビート・リズムの土台になる

DJ用の楽曲だと周波数帯域がきっちり設計されていてEQで各楽器の音量調整ができるようになっていたりするんですが、J-POP/アニソンは(当然ではありますが)その辺の考慮はなく、EQの「HI」「MID」「LOW」で楽器がきっちり分かれていない曲が多いです。
(EQで「HI」だけにして聞いてみたりすると、ボーカルも少し入っているのが分かると思います。)

イメージとしては以下のような感じです。

あくまでイメージですが、本来「MID」の音域にあたるボーカルが「HI」や「LOW」の音域に一部はみ出ている、というような感じです。そのため、「HI」や「LOW」をしぼるとボーカルも音量も部分的に削れてしまう、といったことが起きます。

ミックスするときにも考慮が必要になってくるので、EQを使ってもキレイに楽器の抜き差しができないということをまず頭に入れておいた方がいいと思います。

「MID」「LOW」は特にぶつからないように注意

J-POP/アニソンとEQの関係を頭に入れたうえで、曲を混ぜるときにどういう考え方でEQで処理していけばいいのかという話になりますが、「MID」「LOW」がぶつからないことを優先的に考えたほうがよいです。

J-POP/アニソンは「MID」にあたる部分が濃い曲が多いので、「MID」を下手に混ぜるとごちゃごちゃした音になってかなり聞き苦しくなります。
また、J-POP/アニソンだとメインはほぼボーカルになるのでボーカルが重なるようなミックスは基本NGです。仮にメロディー、リズム、キーが全部完璧に相性よかったとしても歌詞の違いとかでわけわからん感じになると思います。

「LOW」についても、リズムあってないとなんだかどたどたするし、合っていたとしても重ねると音圧でかくなるしでちゃんと差し引きを考える必要があります。

「HI」については経験上ではリズムさえあっていれば意外とそのままでもいけます。
リズムあっていなければ基本的にここも差し引きはした方がいいですが、「MID」「LOW」に比べたら影響度合いは低いと考えているので、「MID」「LOW」を優先的に処理するようにしています。

混ぜすぎには注意

必要以上に曲を混ぜないことも最近よく気にしています。

縦フェーダーとかEQとかいじって曲をつなげるのはやっぱり楽しいんでついいっぱい取り入れようとしてしまうんですが、そもそもJ-POP/アニソンはミックスに向いてないわけなので必要最低限に留めておくほうが聞き心地のいいものに仕上がります。

ミックスをする目的はあくまで聴いている人が気持ちよく次の曲に移行できることなので、音楽的に崩れないことは前提として、聴く側が次の曲を予感したり受け入れたりするのに必要な分だけミックスすればよいと考えています。
なので自分は1小節分の間に高速にミックスする、みたいなこともありますし、極端な話でいうと全部カットイン・カットアウト(一切ミックスしない)で済むならそれでも全然いいとも思っています。

BPMは基本的に再生中の曲に揃える

当たり前の話かもですけど、ミックスしながらつなげるなら次曲は再生中の曲にBPMを合わせる必要があります。

BPM合っていないのにうまく曲が混ざるということはあり得ないですし、BPMが同じまま次曲に移った方が断然聞き心地が良いです。

以前書いた「選曲編」でBPM±2%くらいまでは次の曲として選んでいい、という話をしているのですが、それくらいのBPM差であればミックスしている最中に次曲の早い/遅いを感じることはあまりないので、BPMに少し差がある曲をミックスする際もこのスタンスが良いと思います。。

ちなみにミックスする時間がすごく短い(さきほど書いたように1小節分とか)場合はわざわざ合わせなくてもなんとかなったりはします。

曲ごとの音量調整は自宅でPCDJする分には気にしたことない

曲ごとに音量が違うからTRIMを使って同じ音量(目安としては音量ゲージが赤に到達しない程度)になるよう調整する、という話を見かけますが、自分が自宅でPCDJ使ってDJ-MIX作って遊んでいる範囲ではほぼ気にしたことないです。(現場に出るなら当然話は違うとは思います)

スピーカーで聞いても録音して聴いても特に気になるような差が出たことないので、自分はTRIMは12時固定しています。

実践的なはなし

上述の内容は理屈っぽい話になりますが、それを踏まえて実際に自分がやっている内容について書いていきます。

EQの各種つまみの調整方針

再生中の曲は基本すべて12時

自分はEQのつまみは再生中の曲は「HI」「MID」「LOW」全て12時(つまみ白いラインが真っすぐ上に来る状態)にしています。
※下画像はAIに作ってもらったイメージで実際の画像ではないです。

「LOW」強めたり「HI」抑えたりといった話はありますが、J-POP/アニソンにおいては前述したとおり「HI」「MID」「LOW」の音域で音がきっちり分かれない曲が多いので、ドラムとかキックとか強めたいのにボーカルとかもちょっと強くなっちゃうとかあるので、その辺の微調整は向かないと思っています。

また、J-POP/アニソンは曲自体の認知度がひとつひとつ高いので、なるべく変な手を加えずに原曲のまま出すべきというのが自分のスタンスだからというのも理由としてあります。

「MID」をミックスするときは9時や10時をよく使う

MID」をミックスするときは9時や10時(つまみ白ラインを左に少ししぼった状態)で音を重ねることが多いです。
※下画像は「MID」だけを10時にしぼったイメージです。実際のミックス時は「HI」や「LOW」の調整も必要に応じてします。

「MID」はメインのメロディになるので、あるタイミングでバチっと切り替えるようなやり方がうまくいくことはほぼないので、段階的に切り替えていくケースが多いです。そのとき、音を入れてもぶつかりはしないが存在は感じるラインがこの9時、10時あたりになるのでよく使っています。(基本は10時、10時でもまだ存在感が大きいと感じるときに9時、という具合で使い分けています)

前曲間奏中に次曲の「MID」を9時にした状態で音を入れて、タイミングよく切り替え(前曲「MID」を9時、次曲「MID」を12時)てメインのメロディを次曲に引き渡し、最終的に前曲の音は全部切る、とかそういった具合です。

「LOW」は7時、12時で完全に差し引きすることが多い

「MID」と違ってLOWはバチっと切り替えることが多いです。

「LOW」はリズムに関るので、次曲の「LOW」を存在感うすくして混ぜたとしても変なグルーヴ感を感じるようになるだけでプラスの効果は無いように思います。そのため基本的にはどちらの「LOW」を使うかという二者択一で考えています。

つまみの位置としては7時(左に完全にしぼりきった状態)か12時かのどちらかになることがほとんどです。
※下画像は7時にしぼったイメージです。

「LOW」を入れて次曲の存在感をあげたいとか、次曲「LOW」にインパクトのあるキックがあるから使いたい、とかのタイミングで完全に切り替え(前曲「LOW」を7時、次曲「LOW」を12時)したりとかしてます。

なお、「LOW」を10時などにして混ぜるケースとしては、リズムが完全に一致している曲同士かつ「LOW」をしぼり切ると「MID」の音も削れすぎる、というようなときになります。

「HI」は基本は10時だが最悪処理しなくても大失敗には至らない

「HI」の優先度は低いという話をしましたが、とはいえなるべく無駄に音は重ならない方が良いと考えているので、HIは目立たなければ10時で控え目に、目立つなら7時で完全に切っておく、という感覚でミックスしています。

ただ「MID」「LOW」の処理で手いっぱいなら最悪両方とも12時のままでミックスしたとしても大失敗にはならないと思います。

「HI」がメロディのメインやリズムのきもになることは基本的には無いので、存在感は薄めで(比較的にですが)目立ちにくいですし、「HI」を完全に切り替えて主役が次曲に移るということもまずないです。

そのため「MID」「LOW」を処理して次曲が主役になったあと最後にHIも次曲のものにする、というやり方が自分は多い気がします。

BPMの調整の仕方は「カットイン・カットアウト時」か「目立たないとこでしれっと」

ミックスとは少し違う話になるかもですが、J-POP/アニソンでBPM統一して曲を集めるのはかなり難しいので、曲が足りなくて少しずつBPMを上げたり下げたりしてBPM帯をずらしていくことが自分はよくあります。

そうしたときにDJプレイしている中でBPMを変えていく現実的な方法としては、「カットイン・カットアウト時に変える」か「再生中に曲の目立たないとこで微調整する」というやり方をよくしています。

カットイン・カットアウトで変える場合は選曲に注意

「カットイン・カットアウト時に変える」は再生中の曲よりBPMが少し高い/低い曲にカットイン・カットアウトでつなぐことでBPMを変えていくやり方です。

こちらはやり方としては簡単ではありますが、BPMがいきなり変わる感じがしてグルーヴ感が崩れやすいように思います。四つ打ち系とかグルーヴ感の強い曲はとくに感じます。
なのでカットイン・カットアウトでBPMを変えるなら、違和感が出にくいような曲を選ぶことのほうが大切だと思います。

再生中に変える場合は目立たない箇所でやる

「再生中に曲の目立たないとこで微調整する」は前曲にBPMを合わせてつないだあとに曲中のなるべく目立たないとこで気づかれないようにBPMを上げ/下げするやり方です。

BPMを変えても目立たないポイントは主に以下だと考えています。

  • ボーカル開始位置(きっちりミックスする場合)
  • 音数(特に低音)が少なくなる箇所
  • ゆっくりな曲調に変わる箇所

「ボーカル開始位置」は完全に次の曲に切り替わる区切りのいい位置になるので、BPM切り替えるタイミングとしてちょうどいいです。ただカットイン・カットアウトに近いつなぎでは前述のとおりいきなりBPM変わる感覚を受けるのであくまでミックスして次の曲の存在を感じさせたうえでやった方が良いと思います。

また、曲中(サビ前とか)で少しブレイク的な感じに「音数(特に低音)が少なくなる箇所」や「ゆっくりな曲調に変わる箇所」が挟まる曲がありますが、そういった箇所はグルーヴ感が弱まるのでBPM調整しても目立ちにくいです。

EQと縦フェーダーを併用するケースも多い

音量調整は楽曲全体の音量の上げ下げは縦フェーダー、「HI」「MID」「LOW」の各音域を個別に調整するならEQのつまみを使用するのが基本かと思います。
ただJ-POP/アニソンでDJしていると(自分だけかもですけど)特定の音域は抑えつつそのまま全体の音量を調整してミックスしたいというケースがあるので、この二つを同時併用することがあります。

例えばでいうと、4つ打ち同士だけど楽器の構成はけっこう違うみたいなときに少しずつなじませながら切り替えていきたい、みたいなシーンです。そのとき、以下のような操作をすることがあります。

このようにすると、メロディは前曲のまま「LOW」がまず次曲のものになり、徐々に「HI」「MID」が切り替わっていきます。

音域ごとに音を確認したりぶつけてみたりもよくやる

DJ-MIX作成であればつなぎにしっかり時間かけられますので、それぞれの音域ごとに音を確認してみたりぶつけてみて聞き心地をみたりする、というのもよくやります。

例えば、前曲、次曲ともLOW以外の「HI」「MID」は完全に切った状態にして、それぞれの曲の純粋なLOWだけの音を確認する、LOWの音だけ同時にかけてみる、といった具合です。

これをやるとどんな音が入っているのか、どんなリズムなのかを「HI」「MID」「LOW」ごとに個別に把握することができますし、それを同時にかけて聞いてみることで、そもそもミックスして問題ないか、どうミックスすると聞き心地良さそうか考えるのに役立ったりします。

最終的には録音して判断している

やっぱり最後は実際にミックスしたものを録音して自分の耳で聞いてみる、ということをしたほうがいいです。

DJプレイしながら聴くのと客観的に聴くのではだいぶ印象が違います。
気持ちよくミックスしてつないだものを録音していざヘッドフォンでじっくり聴いてみると、「これはないな、、、」ってなることがよくあります。

客観的な視点で全体的な聞き心地とか、それぞれの音域の音のぶつかり具合とか気にしながらいろいろ試行錯誤するといいミックスになっていきます。また、これを繰り返していくと、「HI」「MID」「LOW」のそれぞれの音の聞き分けとか次第に耳も鍛えられていくので、慣れていないうちは特にやった方が良いと思います。

(ちなみに自分はDJ-MIX作成するときに必ずこのやり方でつなぎ方を決めているので、録音ファイルが貯まっていき100個以上あるという状態によくなります。。。定期的に削除するのも面倒なのでrekordboxに録音ファイルが残らない試し撮りのような機能が付くと助かるなあと思う次第です)

おわりに

まただいぶ長くなりましたが、自分がJ-POP/アニソン類を使って粛々とDJ-MIX作成をしてきた中で出来上がった、つなぎ・ミックスについてのノウハウがだいぶ吐き出せたように思います。

冒頭でも書いた通りこれが正しいとかそういう話ではありませんので、参考になりそうだと思った部分だけ取り入れてもらえれたら嬉しいです。

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